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おおいしだものがたり 第百六話 「最上川舟運の話」 その20.破船の発生と事故処理3

第5段階.江戸・大坂廻米の荷主である酒井左衛門尉松山藩主に対する弁償

文化元年3月26日、酒田船10艘屋内(船団)を雇い入れ、2,560俵の江戸・大坂へ差向ける酒井松山藩の年貢米積船の内1艘(船頭清太郎船)260俵積船が、川前地内の相ケ瀬のニノ瀬に於いて破船する。
 破船した場合には、「最上川内破船定法」の決まりに則り対処することになっている。この場合も、その定法に基づいて、荷主に対して弁償がなされている。

 庄内の松山藩が所有する左沢領(領主は酒井左衛門尉)からの積み出し年貢米、酒田船10艘船団の内1艘(船頭清太郎船)が破船。その時弁償の内訳は以下の通りである。

 破船皆濡れ米、260俵(但し、1俵に付き3斗7升入り)
弁償の内訳

この弁償米を同年4月中に、早急に取り集め、枡廻り(中身)及び俵ごしらえ(外見)を十分に吟味し、代わりの船に積み込み、酒田湊の勘定所へ納米することになる。
 この五段階の処理を一つ一つ済ませ、破船の事故処理は完了することになる。

 3分の2は郡中村々の弁償というのは、松山藩左沢飛地領の村々の共同責任による弁償ということ
 3分の1は請負船方の弁償というのは、請負った10艘屋内(船団)の共同責任ということである。
 幕府や大名には迷惑や損害が及ばないような定法になっていた。運賃米及び破損した船や船具等は船の持ち主と船頭の自己損となる。従って、万が一の事故の場合に対処できる資産能力を持たないと、船持ちや船頭にはなれなかったといえる。

 米俵1俵の正味は、3斗7升である。但し、川運送や海上輸送の途中、荒波にもまれて、正味が目びりし、納米の段階になって、正味切れで返されてしまう事態を起こす。途中の目びりをあらかじめ見越して3升分を足し米にし、計4斗にして1俵の米俵をこしらえることを通例としていた。

このようにして、庄内松山藩が左沢領地から江戸廻米として最上川下げを行った2,600俵は、破船はしたが全額保障されることになる。損害は船方、村方、差配人等がそれぞれ応分の負担となる。


駒込村下の瀬

執筆者 小山 義雄氏

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