おおいしだものがたり 第三十七話 大切に伝えられてきた「お雛さま」について
更新日:2016年3月25日
1.「お雛さま」と「雛人形」
「お雛さま」は、かわいらしいという意味の雛という言葉の頭に「お」が付き、その言葉の後ろに「さま」という二つの敬語が付いた特別なお人形です。このように二重に敬語が付いた人形は、お雛さましかなく、神格(神様の格式)を持った人形といわれています。
よく「お雛さまは、お飾りされた家の特に女の子を中心に、一家にふりかかる災いや病気から守ってくださり、それが家族に及ばないようにその身に背負ってくださる」というような伝えがあります。つまり、病気や災難からその家族(特に女の子)を守ってくださる神様と考えられ、それだからこそ「お供え」をして、無病息災を願っているわけです。
「雛人形」という場合は、人形の種別を示した言葉で、同じ人形でも「お雛さま」とは異なった意味があります。
2.大切に伝えられてきた「お雛さま」
現在まで、数多くの「お雛さま」が伝えられてきたということは、私たちの先祖がいかに「お雛さま」を大事に思い、祀られていたかがわかります。
たとえば、大石田では町の多くが焼失した大火が5回以上、79戸の家屋が流出した大洪水をはじめとする大洪水が3回以上、そして雪害や風害など数多くの災害に見舞われましたが、いち早く「お雛さま」を避難し守ってきたことが想像されます。
また、雛祭りそのものが、廃止されそうになったこともありました。それは、明治6年(1873年)1月4日付けで明治政府が出したお触れで、「これから太陽暦を用いるので、これまでの五節句は廃止する」とあり、これは五節句の一つ「上巳の節句」(桃の節句のこと)の行事、雛祭りも廃止すると村々では解釈され、近村の史料では、「桃の節句の廃止とあるが、子供たちが楽しみにしているので内々に飾った」と記録されています。
そして、戦争中の昭和18年からは、大石田では雛祭り(お雛見)は行われず(昭和17年には奨励されたとも伝えられている)、その後現在のお雛見が復活されるまで、何軒もの飾られたお離さまを見てまわるお雛見は途絶えていました。
3.大切にしたい雛祭り
女の子を中心とする子供たちの健やかな成長と家内安全を心から願い、続けられてきた大石田の雛祭り(お雛見)は、1年間無病息災であったご家庭の幸福をお雛見にいらした方々へおすそ分けするという意味もある、と古老からうかがったことがあります。そのような心優しい伝統行事としての雛祭り(お雛見)は、私たちの誇りとして大切に伝えてゆきたいものです。
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